アニメ紹介『クジラの子らは砂上に歌う』

2017年のTVアニメ『クジラの子らは砂上に歌う』全12話を視聴しました。

通称「クジ砂(すな)

砂上で暮らす人々の戦いを描いたファンタジー作品です。

アニメでは、戦いの始まり、新たなステージへの第一歩が

鉛筆画のような美しい絵と、それを彩る音楽によって描かれています。

井の中の蛙、世界の真相を知る

2017年 秋クジラの子らは砂上に歌う全12話

舞台は砂に覆い尽くされた世界。

巨船【泥クジラ】の住人513人の9割は

情念動(サイミア)という力をもつ、印(シルシ)と呼ばれる存在で、

皆一様に短命であることを受け入れ、静かに暮らしていました。

主人公のチャクロは、船の記録係として

泥クジラで起こる様々な出来事を文字にしており、

また、彼を語り手として物語は進行します。

そのナレーションで度々登場する、砂刑歴(さけいれき)という暦法。

音声だけだと分かりませんが、漢字を見ると

彼らが「砂の刑に処されている」ということが分かります。

しかし、泥クジラの住人たちは自らが罪人の末裔だとはこれっぽっちも知りません。

事の発端は「井の中の蛙、世界の真相を知る」の流れ。

流れ島で出会った少女、リコス。その直後の外界からの襲撃。

序盤から多くの血が流れ、平穏だった生活は突如として終わりを告げます。

外の世界からの突然の襲撃というと、

展開としては『進撃の巨人』を連想する方が多いかもしれません。

また、描写も含めた雰囲気は『新世界より』にも近いと感じました。

感情を取られる者と取られない者

本作において、チャクロはあくまでも記録係。

そこそこの戦闘力はあるものの、先陣を切るのは

問題児グループ「体内モグラ」のリーダーであるオウニや、

泥クジラの自警団の団長であるシュアンです。

その他にも、様々な事情を背負った人物が多く登場します。

泥クジラを襲撃した帝国には、

船の原動力である魂形(ヌース)

【感情】を取られる者と取られない者がおり、

特に印象深いのは、感情があるにもかかわらず、感情を否定され続けた結果、頭がおかしくなってしまった少年、リョダリ。

彼は【感情】がある泥クジラの人々が、怯え、苦しむ姿に喜びや楽しみを見出し、狂ったように殺戮を繰り返します。

最悪の敵でありながら、彼もまた不遇な人生を歩んでいるというところが一つの見所です。

泥クジラ、帝国、そして第3勢力、スィデラシア連合王国。

それぞれに感情移入の余地があり、国家単位、

果ては世界単位で行く末を見守る壮大な物語となっています。

悲壮感と疾走感

OP曲「その未来へ」

アニメではAメロ部分がカットされ、疾走感のあるアレンジとなっています。

歌はRIRIKOさん。メジャーデビュー曲で、当時22歳。

空に訴えかけるような歌声からは、泥クジラの人々の悲壮感を強く感じます。

また、第7、8話の戦闘シーンでは

エマという謎の少女によるミュージカルのような演出があり、

残酷な展開が美しく彩られ、

その運命を静かに受け入れさせられたかのような気持ちになりました。

砂に覆い尽くされた世界という斬新な設定。

鉛筆画のような描写。疾走感と悲壮感に溢れる音楽。

残酷でありながらも、美しい絵画のようにデザインされた繊細な作品でした。

作品情報

放送時期

2017年 秋クジラの子らは砂上に歌う全12話

配信情報

Netflix視聴可
Amazonプライム・ビデオ視聴不可
dアニメストア視聴不可
※2021年3月時点

スタッフ

原作梅田阿比
監督イシグロキョウヘイ
シリーズ構成横手美智子
キャラクターデザイン飯塚晴子
音響監督明田川 仁
アニメーション制作J.C.STAFF

キャスト

チャクロ花江夏樹
リコス石見舞菜香
オウニ梅原裕一郎
スオウ島﨑信長
ギンシュ小松未可子
リョダリ山下大輝
シュアン神谷浩史